大人になった子供たちと迎える静かなクリスマス

12月25日、クリスマスイブ。

今年もあっという間にこの日を迎えた。街に流れる音楽も、スーパーの売り場の雰囲気も、すっかり年末らしくなっているが、我が家のクリスマスは以前と比べるとずいぶん静かなものになった。

子供たちも皆それぞれの生活を持ち、仕事や予定があり、昔のように家族全員が揃ってワイワイとパーティーをすることはなくなった。今は、夫婦と自宅に残っている長男の3人で食卓を囲む形になっている。

思い返せば、小さな頃はツリーを出して、プレゼントを用意して、ケーキを囲んで賑やかに過ごしたものだが、そんな時間も今では懐かしい思い出になっている。

とはいえ、まったく何もしないのも味気ない。

これまではチキンもケーキもイブにまとめて楽しむのが我が家の定番だったが、今年は少し気分を変え、イブはケーキ、クリスマス当日はチキンと、二日に分けて季節を味わうことにした。

イブの夕方、仕事帰りにお気に入りのケーキ屋さんに立ち寄った。

この店のケーキは甘さが控えめで、クリームも軽く、何度食べても飽きがこない。ショーケースには色とりどりのケーキが並び、どれも美味しそうでしばらく迷ったが、結局いつもの定番に落ち着いた。こうして毎年同じ選択をしていることが、なんだか安心感にもなっている。

夜は、夫婦と長男の3人でケーキを囲み、コーヒーを淹れてゆっくりとイブを過ごした。

テレビではクリスマス特番が流れ、外は静かな冬の空気。派手さはないが、この落ち着いた時間も悪くない。子供たちが小さかった頃の賑やかなクリスマスと、今の静かなクリスマス。どちらも、それぞれに大切な思い出として胸に残っている。

そして翌日の25日、クリスマス当日。

仕事を終えて帰宅すると、キッチンからいい匂いが漂っていた。奥さんが朝から仕込んでいたチキンが、ちょうど焼き上がったところだった。市販のものではなく、下味から丁寧に作った手作りチキン。オーブンから取り出されたその姿を見るだけで、今年もクリスマスが来たのだと実感する。

テーブルに並べられたチキンと簡単な料理を、また3人で囲んだ。

「昔は全部イブだったよな」と長男と話しながら、ゆっくりと食事を楽しむ。形は変わっても、家族で同じ食卓を囲めることのありがたさは、年々深く感じるようになった。

年を重ね、家族の形も、クリスマスの過ごし方も変わっていく。

だが、ケーキを食べ、チキンを囲み、季節を感じるという小さな習慣は、これからも大切にしていきたい。派手ではないが、心が温まる、我が家らしいクリスマスだった。

今年も残りわずか。

静かなクリスマスを過ごしながら、また一つ年を重ねたことを噛みしめ、穏やかな年末へと気持ちを整えている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました