今夜の金曜ロードショーは「竜とそばかすの姫」。細田守監督の新作公開に合わせた放送ということで、久しぶりにこの作品と向き合うことになった。初めて観たときの衝撃も覚えてはいたが、あらためてテレビの前でじっくり鑑賞すると、その世界観の美しさに思わず息をのんだ。
仮想世界“U”の描写は、何度見ても圧倒される。色彩の鮮やかさ、光の表現、キャラクターの動き、そのすべてが丁寧に描かれていて、まるで自分もその空間に入り込んだかのような感覚になる。
そして何より、心に残るのは歌の力だ。画面越しにも関わらず、その歌声はまっすぐ胸に届き、知らず知らずのうちに感情が揺さぶられていた。歌には言葉以上の力があるのだと、あらためて感じさせられる瞬間だった。静かな夜のリビングで、その旋律に耳を傾けながら、自然と心が穏やかになっていくのを感じた。
年齢を重ねると、感動する機会もどこか減ってしまうような気がしていたが、こうして作品に触れることで、まだ素直に心が動く自分がいることに気づかされる。涙が出るほどではなくても、じんわりと胸が温かくなる感覚。それこそが「感動」なのかもしれない。
忙しい日常の中で、こうした時間を持つことの大切さを改めて実感した夜だった。美しい映像と音楽に包まれながら、これからも作品を観て心を揺さぶられる瞬間を大切にしていきたい。感動できる気持ちを、これからも失わずにいたいと、静かにそう思った金曜の夜である。



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