今週末は寒波が訪れ、大雪になるかもしれないという予報が出ている。ニュースでは、交通への影響や雪による被害への注意が繰り返し呼びかけられていて、冬の厳しさがまだ続いていることを実感する。どうか大きな被害が出ず、穏やかに過ぎてほしいと願うばかりだ。
一方で、世の中はオリンピックの話題でにぎわっている。テレビをつければ、選手たちの活躍やメダルの行方が伝えられ、寒さの中でも熱気のある時間が流れている。世界規模のイベントに心が高揚する一方で、我が家ではいつも通り、季節の行事を静かに迎えている。
今年も雛飾りを出した。箱から一つひとつ人形を取り出し、赤い毛氈を敷き、慎重に並べていく。この作業は、何度繰り返しても少し背筋が伸びる。華やかなようでいて、どこか凛とした空気が漂うのが雛飾りの不思議なところだ。
子どもたちはすでに大人になった。以前のように「早く飾ろう」と声をかけることも、「きれいだね」とはしゃぐ姿を見ることもなくなった。それでも、雛飾りを前にすると、幼かった頃の記憶が自然とよみがえる。小さな手で人形を指さしていたことや、写真を撮った日のこと。そんな場面が、静かに胸に浮かんでくる。
大人になった今でも、変わらず願うことは同じだ。これから先も、子どもたちが健やかで、自分らしく歩んでいってくれること。それ以上の望みはない。雛飾りは、そんな思いを毎年あらためて心に刻むきっかけになっている気がする。
雛飾りが整ったところで、おやつにウグイス餅をいただいた。淡い緑色がいかにも春らしく、手に取るだけで少し気持ちが和らぐ。まだ外は寒く、雪の心配もあるけれど、季節は確実に春へと向かっているのだと感じさせてくれるお菓子だ。
口にすると、やさしい甘さの餡とやわらかな餅の食感が広がる。派手さはないけれど、どこか懐かしく、落ち着く味。ウグイス餅を食べながら、目の前の雛飾りを眺めていると、時間が少しゆっくり流れているように感じた。
外では寒波や大雪、世界ではオリンピックの熱戦。そんな大きな出来事とは別に、家の中には、毎年変わらず繰り返される小さな季節の風景がある。雛飾りとウグイス餅。その組み合わせは、我が家にとって「春が近づいているよ」とそっと教えてくれる合図のようだ。
慌ただしい日々の中でも、こうした季節の行事を大切にしていきたい。特別なことをしなくても、飾りを出して、季節のお菓子をいただき、家族の健康を願う。それだけで、心が少し整う気がする。今年もそんな時間を持てたことに、静かな満足感を覚えた週末だった。


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