先週、神戸で働く娘が久しぶりに帰省していた。短い時間ではあったが、やはり娘が家にいると空気が柔らかくなる。帰る日、JR松山駅のバス乗り場まで車で送ることになり、いつものように何気ない会話をしながらハンドルを握った。
バスを待つ間、駅構内の売店を何気なく眺めていると、「友近おすすめ」と書かれたミートソーススパゲティが目に入った。昭和を思わせるレトロなパッケージで、どこか懐かしさを感じさせる佇まいだった。思わず「これ、なんか気になるな」と声に出すと、娘も同じように興味を示し、「私も買ってみようかな」と、それぞれ一つずつ手に取ることになった。
娘を見送ったあと、自宅に戻り、そのスパゲティを今日の昼食に奥さんと一緒にいただいた。温めている間から漂う香りが、どこか昔を思い起こさせる。ひと口食べてみると、しっかりとした濃厚な味わいで、どこか懐かしい感覚に包まれた。最近の洗練された味とは違い、素朴でどっしりとしたソースが心に染みる。
パッケージには「松山にあったアミド・パリの味を再現」と書かれていた。実はアミド・パリには行った記憶はないのだが、それでも“松山の味”と聞くと、不思議と親近感がわいてくる。知らないはずなのに、どこか懐かしく感じるのは、昭和の雰囲気がそうさせるのかもしれない。
調べてみると、このミートソースは通販でも購入できるそうだ。今回の一度きりではもったいない気もして、また機会があれば取り寄せてみたいと思った。娘も神戸で同じものを食べていると思うと、離れていても同じ時間を共有しているようで、少し不思議な気持ちになる。
JR松山駅での何気ない出会いが、こんなふうに心に残る昼食になるとは思ってもみなかった。忙しい日々の中でも、こうした“小さな懐かしさ”に出会える瞬間を、これからも大切にしていきたい。



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