日に日に気温が下がり、服装も少しずつ秋から冬へと変わっていくこの時期。夕方になると空気がひんやりしてきて、「そろそろ鍋が恋しい季節だな」と自然と思うようになります。そんな今日、わが家の食卓に今季初のおでんが登場しました。
おでんの香りが台所からふわっと漂ってくるだけで、「あぁ、冬が来るんだな」と感じます。普段はあっさりした味付けが多いわが家ですが、おでんだけは時間をしっかりかけて煮込むのが定番。透明感のある出汁の中に、具材の旨みがじっくり染み込み、食べる前から心まで温まるような気がします。
わが家のおでんの具材は、いつものラインナップがあります。まず欠かせないのが大根。厚めに切られた大根は、箸を入れるとスッと通るほどやわらかく、中心まで出汁がしっかり染みているので毎回感動します。そしてたまご。黄身にほんのり色がついた、あのしっとりした美味しさはおでんならでは。
次に、がんもどきやごぼ天、それに愛媛ではおなじみのじゃこ天。じゃこ天は煮込むと出汁に旨みが増して、全体をさらに深い味わいにしてくれる名脇役です。そして、わが家ならではの具材が鳥足(とりあし)。鶏の旨みが自然とスープに染み出し、あっさり出汁がほんのりコクをまとって絶妙の味わいになります。
鍋を覗くと、どの具材もゆっくり煮込まれて、それぞれがいい表情をしていました。1日目はあっさり、翌日はさらに味が染みる…そんな楽しみ方ができるのも、おでんのいいところです。
食卓に並んだ瞬間から湯気が立ち上り、寒さを感じていた体がほっと緩むようでした。ひとつひとつ具材を味わいながら、あぁ今年もまたこの季節が来たんだな、としみじみ感じる夕食でした。
冬が本格的に始まる前の、小さな幸せ。やっぱりおでんは、寒い季節のごちそうです。


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