今日の会社帰り、ふと車のフロントガラス越しに夜空を見上げると、ひときわ明るい月が目に飛び込んできた。
雲ひとつない澄み切った空に、まん丸の月がぽっかりと浮かび、まるで空から見守ってくれているようだった。
冷たい空気の中、仕事の疲れがすっと抜けていくような、穏やかな気持ちになる。
そういえば昨日はスーパームーンだったらしい。
ニュースで聞いて、見てみようと思っていたのだが、あいにくの雨。
残念ながら拝むことはできなかった。
だからこそ、今日のこの月の美しさが、いっそう心に染みたのかもしれない。
スーパームーンは、月が地球に最も近づくタイミングと満月が重なる現象。
一年のうちでも特に大きく、明るく見える満月だ。
昨日の雨空を思えば、今日は「見逃した代わりに少し遅れてご褒美をもらった」ような気分になる。
車を走らせながら、信号待ちのたびに何度も空を見上げてしまった。
街灯やビルの明かりの中でも、その存在感は際立っていて、まるで都会の夜に溶け込みながらも、どこか神秘的な光を放っていた。
空気が澄んでいるこの季節は、星も月も一段と綺麗に見える。
秋の夜長という言葉がぴったりくる時間だ。
家に着くころ、車を降りてもう一度空を見上げた。
風もなく静かな夜。
しばらくの間、ただ月を眺めていた。
忙しい日常の中で、こうして立ち止まり、自然の美しさを感じる瞬間があるだけで、心がすっと軽くなる。
昨日の雨で見逃したスーパームーンも、今日の満月がその代わりをしてくれたようだ。
ほんの少しの違いなのかもしれないが、「昨日よりも今日のほうが良かったかもしれない」と思えるのが不思議だ。
きっと、見られなかった分だけ、今日の月をより一層ありがたく感じたのだろう。
夜空を照らす月の光には、不思議な力がある。
照明のような人工的な明るさではなく、どこか優しく、静かで、懐かしい光。
その光を浴びながら、また明日も頑張ろうという気持ちが自然と湧いてきた。
次の満月はいつだろうか。
そんなことを思いながら、月の明かりに背中を押されるように、家の玄関を開けた。



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