日曜日、久しぶりに妻と映画館へ足を運んだ。
今回観た作品は「ほどなくお別れです」。以前、別の映画を観に行ったときに流れていた予告編がずっと心に残っていて、「これはきっと泣いてしまうやつだね」と二人で話していた作品だった。
最近、年齢のせいなのか、以前よりも涙腺が緩くなっている気がする。ニュースやドラマでも、ふとした瞬間に胸が熱くなることが増えた。だからこそ、この映画は最初から覚悟して向かったような気持ちだった。映画館へ向かう車の中でも、「絶対泣いちゃうよね」と笑いながら話していたのを覚えている。
館内に入り、席に座ると、いつものように静かな空気が流れ始める。照明が落ち、スクリーンに映像が映し出された瞬間、日常から少しだけ切り離された感覚になる。その時間が好きだと改めて感じた。
そして、物語が始まってほどなくして、やはり涙がこぼれてしまった。まだ序盤なのに、登場人物の心情や空気感がじんわりと伝わってきて、自然と感情が動かされた。隣を見ると、妻も静かに画面を見つめていて、きっと同じように何かを感じているのだろうと思った。
生きていれば、別れは避けて通れないものなのかもしれない。そう頭では理解していても、大切な人がいなくなることを想像するだけで、胸の奥が締め付けられるような気持ちになる。映画の中で描かれる別れの場面は決して大げさではなく、むしろ静かで、だからこそ現実味があって、心に強く響いた。
キャストの皆さんがそれぞれの役を丁寧に演じていて、物語が自然に流れていく。派手な演出ではなく、日常の延長線のような時間が積み重なっていく中で、少しずつ心が揺さぶられていった。泣かせようとしているわけではないのに、気づけば涙がこぼれている、そんな不思議な感覚だった。
物語の後半では、別れというテーマだけでなく、「残された人がどう生きていくか」という視点が印象に残った。悲しみは消えるものではないけれど、その先にも確かに日常は続いていく。そんなメッセージを受け取ったような気がする。
映画が終わり、館内の明かりがついたとき、しばらく席を立てなかった。涙で少しぼんやりした視界のまま、余韻を味わっていた。外に出ると、日曜日のショッピングモールはいつもの賑わいを見せていて、映画の世界との対比が少し不思議に感じられた。
帰り道、妻と「やっぱり泣いたね」と笑いながら話した。どこが一番印象に残ったか、どのシーンが心に響いたかをゆっくり話しながら歩く時間も、映画鑑賞の楽しみの一つだと思う。こうして同じ作品を観て、同じ時間を共有できることが、何よりありがたいことなのかもしれない。
日常は当たり前のように続いていくけれど、その当たり前がどれほど大切なのか、改めて考えさせられる作品だった。別れというテーマは決して軽いものではないけれど、この映画は悲しみだけではなく、優しさや温かさも同時に感じさせてくれる。
最近は、家族との時間や夫婦で過ごす時間の意味を以前よりも強く意識するようになった気がする。子どもたちも成長し、それぞれの生活を歩んでいく中で、こうして二人で映画を観る時間が少し特別に感じられるようになった。
映画館を後にしたあと、なんとなく優しい気持ちが心に残っていた。涙を流したのに、重たい気持ちではなく、どこか穏やかな余韻が続いている。きっとそれは、この作品が「別れ」を描きながらも、「今を大切に生きること」を静かに教えてくれたからだろう。
また一つ、心に残る映画に出会えた日曜日だった。次に映画館へ行くときも、こうして夫婦で同じ時間を共有できたらいいなと思う。そんなことを感じながら、帰り道の景色をゆっくり眺めていた。


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