Audibleで聴いた『青い鳥、飛んだ』――正しさの行き着く先を考える

日記

通勤時間にAudibleを聴くのが、すっかり日課になっている。今日は丸山正樹さんの『青い鳥、飛んだ』を聴き終えた。聴き終わったあと、しばらく次の作品を選ぶ気になれず、頭の中で物語を反芻していた。

物語は、女子学生がコンビニで万引きをして捕まる場面から始まる。ごくありふれたニュースの一場面のようで、どこにでも起こり得る出来事だと感じた。だが、その「ありふれた出来事」が、次第に別の人生を巻き込み、取り返しのつかない方向へ転がっていく。

万引きを取り締まっていたコンビニ店主は、正義感の強い人物として描かれている。ルールを破る者を許さず、間違ったことは間違っていると強く主張する姿勢は、一見すると社会に必要な存在にも思える。しかし、その正義感が行き過ぎたとき、事態は一変する。パンを万引きした男性にケガを負わせ、そのケガが原因で男性は亡くなってしまう。結果として、店主は殺人犯として起訴される立場になる。

この展開は非常に重く、聴いていて胸が締め付けられるようだった。誰が完全な被害者で、誰が完全な加害者なのか、単純には割り切れない。正しいことをしているつもりだった行為が、別の誰かの人生を奪い、そして自分自身の人生も壊してしまう。その現実が、淡々と、しかし容赦なく描かれていく。

物語の中では、万引きだけでなく、売春やレイプといった社会の闇の部分も描かれる。それぞれが抱える事情や弱さ、逃げ場のなさが交差し、登場人物たちの人生が複雑に絡み合っていく。誰か一人の選択が、思いもよらない形で他人の人生に影響を与えていることが、強く印象に残った。

特に考えさせられたのは、「正しいこと」であっても、度を越したときに生まれる結末だ。ルールを守らせること、悪いことを正すこと自体は否定されるべきではない。しかし、その方法や加減を誤ったとき、正義は簡単に暴力へと変わってしまう。正義を振りかざすことで、自分が救われたような気持ちになる瞬間があるからこそ、なおさら危ういのだと思う。

日常生活の中でも、「それはおかしい」「許されない」と感じる場面は多い。だが、そのとき自分はどこまで踏み込むべきなのか。感情に任せて行動していないか。物語を聴きながら、何度も自分自身に問いかけていた。

『青い鳥、飛んだ』は、決して後味の良い作品ではない。それでも、目を背けたくなる現実と向き合うきっかけを与えてくれる一冊だった。Audibleで聴いたことで、登場人物たちの感情がより生々しく伝わり、物語の重さが一層際立ったように感じる。

聴き終えた今、心のどこかに小さな引っかかりが残っている。その違和感こそが、この作品の投げかけている問いなのだと思う。正しさとは何か、その正しさをどう扱うべきなのか。簡単な答えは出ないが、考え続けること自体が大切なのだと、静かに教えられた気がした。

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