このところの冷え込みのおかげで、家の近くの街路樹が一気に色づき始めた。つい先週までまだ青さが残っていたはずなのに、気が付けば赤や黄色が鮮やかに並び、まるで景色全体が秋の装いに衣替えしたようだ。朝の通勤路でふと見上げると、風に揺れる葉が光を受けてきらきらと輝いている。毎年のこととはいえ、この瞬間には心がふっと温かくなる。
紅葉はゆっくり進むイメージがあるが、今年は特にスピードが速いように感じる。ここ数日の冷え込みが効いたのか、「昨日まで夏の気配が残っていたのに」と驚くほど。気温が下がると急に季節が進んだ実感がわき、自然のリズムというものは本当に不思議だと思う。
朝歩いていると、落ち葉が足元でカサッと音を立てる。色づいた葉がひらひらと舞い落ちるたびに季節の変わり目を感じる。少し立ち止まって周りを見渡すと、街路樹のグラデーションが本当に美しい。真っ赤に染まった木、まだ黄色の途中の木、わずかに緑を残した木…。それぞれが“今の季節だけの姿”を見せてくれている。
しかし、こんな秋の景色も長くは続かないだろう。季節は待ってくれない。色づいた木々を眺めながら、「あっという間に冬になってしまうのかな」と少し切ない気持ちにもなる。寒さが本格的になれば、落ち葉がすっかり散ってしまい、冬らしい少し寂しげな景色へと変わっていく。
年々、季節の移り変わりが早くなっているように感じるのは歳を重ねたせいなのか、それとも今年の気候によるものなのか。気がつけば今年も残りわずかだなとしみじみ思う。だからこそ、今だけの紅葉の景色をしっかり目に焼き付けておきたい。
仕事の行き帰りにふとした瞬間に見える街路樹の色づき。それだけで一日の気分が少し良くなる。忙しい毎日の中でも、季節の変化を肌で感じられる時間は貴重だと思う。明日もまた、近くの街路樹の色がどんなふうに変わっているのか楽しみにしながら、今日の秋の風景を心にしまい込んだ。



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