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対話の先に見えた自分自身。Audibleで聴いた『嫌われる勇気・幸せになる勇気』感想記

audible感想

通勤時間にAudibleを聴くことが日課になっているが、今回選んだのは長く話題になっていた『嫌われる勇気』と、その続編『幸せになる勇気』だった。YouTubeの書籍紹介などでアドラー心理学の名前は知っていたものの、正直なところ「理解している」と胸を張って言える状態ではなかった。だからこそ、耳からじっくりと内容に触れてみたいと思い、再生ボタンを押した。

物語は青年と学者の対話形式で進む。最初は哲学的で少し難しく感じたが、不思議と耳に残る言葉が多く、いつの間にか話の世界に引き込まれていった。青年がアドラー心理学を否定しに来る姿は、どこか自分自身の疑問や抵抗感を代弁しているようにも思えた。聞き進めるほどに、「本当にそうだろうか」と考えながら、学者の言葉を追いかけている自分がいた。

第1弾の『嫌われる勇気』では、アドラー心理学の基本的な考え方が対話を通じて示されていく。他者からどう思われるかよりも、自分の課題に向き合うことの大切さ。過去ではなく、今の選択が人生を形づくるという視点。頭では納得できる部分が多いのに、いざ自分の生活に置き換えると簡単ではないという感覚が残った。理想論のように感じる瞬間もあったが、それでもどこかで心に引っかかり続ける内容だった。

続編の『幸せになる勇気』では、数年後に教師となった青年が再び登場する。アドラー心理学を実践しようとしたものの、現実の壁にぶつかり、再び学者のもとを訪れるという展開が印象的だった。理論を理解することと、実生活で実践することの間には大きな距離がある。その葛藤は、資格の勉強や仕事、家庭での関わり方など、日常のさまざまな場面と重なって感じられた。

特に印象に残ったのは、「勇気」という言葉の重さだった。ただ前向きでいることではなく、自分の選択に責任を持ち、他者と向き合い続ける姿勢そのものが勇気なのだと感じた。青年が再び学者に挑む姿は、理想と現実の間で揺れる私たち自身の姿なのかもしれない。聴き終えたあと、すぐに答えが見つかったわけではないが、物事の見方が少しだけ変わった気がした。

アドラー心理学は共感できる部分が多い一方で、実践となると本当に難しい。日々の生活の中では、つい他人の評価を気にしたり、過去の出来事にとらわれたりしてしまう。それでも、対話の中で繰り返し語られる「自分の人生を生きる」という言葉は、静かに背中を押してくれるように感じた。

Audibleで聴いたことで、文字を追う読書とは違い、言葉のリズムや間合いが心に残ったのも印象的だった。哲学書というと堅いイメージがあったが、対話形式のおかげでストーリーとして自然に理解が深まっていく。難解な内容でも、耳から入ることで少しずつ自分の中に落ちていく感覚があった。

自己啓発という言葉は時に軽く聞こえてしまうこともあるが、この2冊は単なる前向きなメッセージ集ではなく、自分自身の考え方を問い直すきっかけを与えてくれる作品だった。すぐに変わることはできなくても、考え続けること自体に意味があるのかもしれない。これからも日常の中で、小さな場面からでもアドラー心理学の視点を思い出しながら、自分なりの実践を重ねていきたいと思う。

聴き終えた今、もう一度最初から聴き直したら、違う気づきがあるのではないかという予感もある。通勤時間という限られた時間の中でも、自分の内面と向き合う時間を持てたことは大きな収穫だった。次にどんな本を選ぶか考えながら、今日もまたイヤホンを耳にかける。

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